2009/10/29 (Thu) 15:51
続きにすっごい短いDグレ文。
バク+神田(10年位前設定)
凄い意味不。
ケータイからの書き込みなので、文章読みづらかったら後で直します。
命に意味があるというなら死にも意味があるのか。
純粋な瞳の男の子は僕にそう聞いてきた。
まだ十にもなっていないであろうその男の子は色白な肌にくっきりとした黒い瞳をもっていた。
長い睫毛がゆっくりと閉じて、開いた。
「あるよ」
十二分に考えて僕はそう言った。とても大切な事のように男の子が聞いてくるのだ。誠意をもって答えたかった。死に意味はあるのかと問われ、あると思ったからあると答えた。ちゃんと考えて、導き出した答えなのだが。
男の子の顔が歪んだ。元々無表情だったのだから、表情が変われば全て歪んだと言えるのかも知れない。けれど、これはまさに『歪んだ』としか言いようがなかった。怒りも悲しみも軽蔑もない。それは落胆のような、失望のような表情。
黒くまぁるい瞳が細められた。
「お前長続きはしないな」
笑いもせずただそう低く呟いて男の子は僕に背をむけ走り去っていった。走る靴音は小さく、彼の体重が軽いことを伝えてきた。
その男の子の言い方は大人びていて、それゆえに子供っぽさが滲み出ていた。
(子狐が虚勢を張っているかんじ…?)
自分の例えに共感出来て思わず笑ってしまう。
彼は口にこそ出さなかったが「死に意味はない」と告げていった。なんて幼稚で単純な考えだろうと思う。子供とかそういう問題ではない。単純に「意味はない」と決め付けてしまうその安易さにまだまだだなと心の中で思った。意味を見出すなんて虚しく苦行でしかないことを無意識のうちに避けている、もしくは理解して堪えられずに「意味はない」という簡単な位置に収まったのだ。安易と言わずになんと言うのだろう?
男の子は僕に「長続きしない」と言った。
それは僕が支部長に向かないと言いたかったのだろう。
死に意味がないと割り切れと?割り切れる人間のみがこの教団で生きていけると?
長続きしないとはよく言ってくれたものだ。
長く長く教団に居れば居るほど仲間が多くなりそしてその仲間が戦で死んでいく。
「僕はこの教団でしか生きたことがない」
自分だって死に意味なんかない、そういう理なのだと割り切りたかった。その方が自分自身にとって苦痛が少なくなることは解っていた。けれどどうしてもそれは出来なかった。
(僕は君よりも長い時間、ここで生きてきたんだよ)
「死に意味があってもなくても、ここでは人が死んでいく」
そう、男の子が去っていった方向に向かって呟いた声は誰かの鼓膜を震わせることなく霧散して消えた。
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(例えば君が死んだとしても)
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