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生姜日記
だらだらとたまに日記を。
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2024/05/09 (Thu) 22:24
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2009/06/21 (Sun) 23:48




久し振りにコムバク。
だけどなんかラブラブしてません。
コムイ→バクみたいな感じになっちゃった。

でも、コムイさんがバクちゃんのこと気になっちゃってちょっかい出したいんだけど、バクちゃんは動揺というか心の中知られたくなくて(恋心っぽいもの!)拒んでるとゆー甘酸っぱいところ


・・・・・・ていうのを考えながら書いたんですが・・・・。
全然違くなりました。




まぁ、・・・・お暇で、そんなんでも良ければ下の「コムバク」からどぞ!




 


最初から、君が何を見ているかだなんて愚問だったんだ。




部屋の窓を開けて身を乗り出した。外を見下ろすと森があって、時折誰かが鍛練している音が聞こえる。
空を見上げるとそこには灰色の雲が隙間無く詰まっている。
上も下も気持ち悪いほど密集しており、圧迫されている気分だった。
風が、頬を滑って部屋の中へと舞い込んだ。
一緒に小さなゴミも飛んできたらしく目にチクリとした痛みがあった。





本部室長に僕は昨日就任した。





正式に決まったのが昨日というだけであって、随分前から僕の就任は『予定』として決まっていた。
早過ぎる各組織へのその伝達に、
「あぁ、これは『正式に決まる前に早く誰かこの男を引きずり降ろせ』と言っているんだな」
と半ば冷めた気持ちで昨日まで僕は過ごした。
妥当な判断と言えばそうかもしれない。教団にとって僕はなんの歴史もない新参者だ。
力で捩伏せられるものならばそうしただろう。僕の能力を上回る者を探し出し、僕に与えられる権力を奪えば良かったんだ。



けれど僕を追い越す者どころか、僕についてこられる者すら居なかった。



思わずフフ、と笑いがもれた。
どうせこの部屋には僕しか居ないのだから構わないだろう。もう一度だけ、笑った。

後ろでぱさりと紙が落ちる音が聞こえる。多分書類でも風で飛んだのだろうとたいして気にしなかった。




「おい」




背後から真っ直ぐに僕に向けられた声。
耳に刺さるようなその声に思わず口角があがる。



「どなたですか。ここは僕の部屋なんだ。出ていってくれる?」



振り向かずに小さな嘘をつけて返事をした。

『誰』かだなんて解っている。『出ていけ』だなんて思っていない。少し遊んでいって欲しい。


反応が何かあるかと思ったけれどそれはなかった。
外の涼しい風を肺に納めて窓を閉めた。途端に部屋の中で細かく鳴っていた音が消え失せる。
前髪が数本、顔に掛かったが気にしない。払いのけるよりも先に、彼の顔が見たかった。

振り返って、早く見たかった。

しかし彼の顔は見えない。先ほどの風で机から飛んだらしい大量の紙を拾っていた。





「あぁ、ゴメンね。散らばっちゃった?」


「重要書類だ。きちんと扱え」




話し掛けても揺さ振られないようにしているのか、声は震えていない。
けれど先程から聞こえる彼の声には僅かに敵意が滲んでいた。
顔は故意に合わさないようにしているように感じられる。

静かに、彼の細く白い指先が一枚一枚紙を拾い上げる。




「何を突っ立っている。お前も拾え」




窓枠に未だ寄り掛かっている僕に彼は命令するように言う。

顔は見せないまま。

あぁ、おかしい。






僕は昨日


彼の想うものを奪った。






「うん、ゴメンね」





そう言った後僕の足は
一つ、前に出た。


も一つ。もう一歩。





「ねぇ」






足元に、彼がいる。しゃがみ込んでいる傍らには拾い纏めた数束の書類。

彼は顔を上げない。

僕が彼を見下ろしているせいで、照明との間に妨げが出来る。
彼の背中、首筋、後頭部に僕の形の影が落ちる。
それだけで腹の中がゾクゾクした。





「室長になれたお祝いに、ワイン付き合ってくれない?」





思ったよりも自分の声に愉悦が含まれてしまった。


彼の指が、ぴたりと止まる。
細い手首がくたりと折れ、やる気を無くしたように床に触れた。





「そうだな。仕事が終わったら年代ものを持ってくるよ」





凜とした彼の声が、嘲笑うように僕の鼓膜をくすぐる。
その声には敵意も怒りも動揺もなく、ただただ冷ややかだった。


静かに、彼の顔が上がる。グレーの瞳が僕に焦点を合わせた。
切れ長の、深いグレー。
白にも黒にもなれない色は僕を飲み込みそうで、一瞬、息が詰まった。


返事をする代わりに僕は眉を軽くあげて「そっか」と伝えた。





______






彼が部屋から出ていって数時間過ぎた。
僕は仕事をしていた机に頬杖をついた。
窓の外側はもう暗くて、さっき感じた圧迫感は見えなかった。




ハァ~と長いため息を吐ききって、大きくて柔らかい坐り心地の悪い椅子の背もたれに寄り掛かった。
後で椅子変えてもらおうと思いながら、先程の彼の瞳を思い出す。





あぁ、残念。
彼は『僕』なんか見ちゃいない。





室長になれば、どんな形であれ、僕を見るだろうと思っていた。






彼は『室長殿』を見ていた。『室長殿』に恋い焦がれてる。




「残念だなぁ…また手を考えなくちゃ…」




そういって僕は冷たい瞳の彼が来るのをまった。


彼が毒入りワインを持ってきませんようにと思いながら。
 





end








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